祈りよ届け！弾丸のごとく！

　
　こんにちは。岡本です。御元気ですか？最近は暑くていけませんね！風邪を引いていませんか？それならよかった。ボクはようやく地元から帰ってきたところです。さて、ボクは哲学科に所属しているわけなんだけど、どうやら卒業論文の提出が差し迫ってきているようなんです。
　ボクは3ヶ月前、大学のゼミで卒業論文のテーマを「key的文学とテクスト解釈学とカント的ア・プリオリ〜矛盾螺旋構造の罪〜」ということに決めて、ボクの卒業を確実なものとするつもりだったんですよ！うぐぅ。素晴らしい。素晴らしく暖かい。暖かいよね。こんな、ボクの大学生活を締めくくるのに相応しすぎるテーマは無いと言った具合ですよね。
　それなのにボクの担当教授は
「岡本君、これは何かな？（有無を言わさぬ調子でレジュメを握りつぶす）ＡＩＲ…？このレジュメから見受けるところ、君が文学と謳うこの物語は女性の性を売り物にした非社会的な読み物にしか見えないんだが…（鷹揚な笑顔から一転して悪鬼の表情。吸っている煙草を噛み千切る）卒業するつもり……あるの？それとも、何？は？え？これ本気？ははは。馬鹿言っちゃいけないよ、あぁぁぁぁ！！！！！！？？？（突然立ち上がり灰皿を蹴り飛ばす。机の上をふっとんでいく灰皿。）書き直して来い！今すぐ書き直して来い！！お前、俺をなめてるだろ？え？どこの哲学科がこんな白痴みたいな論文を許すか！！しかも、カントだと！俺が東大でカントを専攻して、卒業後も死に物狂いで研究しているのを知ってのことか！え？イヤミなんだろ！これは？え？嫌味だろうが！！」

　こんな失礼な反応ですよ！ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、ボクは、こういう性器だとか…性器だとか…性器だとか…下品な話が一番嫌いなんです！！！そうさ！！下品極まりないよ！！あゆは・・・あゆは本当はあんな・・・あんな不潔なこと、嫌に決まってるんだ…。どうして、製作者は、うぐぅ！！あんな下賎なシーンを加えたんだ！！物語にあんな…あんな…性行為は…必要ないんだ。かわいそうな……かわいそうな……あゆ……おお！！手と手を握り合うだけで十分なんだ。それ以上行くと、性器にまみれた下品なものになるでしょ！現代の物語では、少年と少女は、合って一秒で手を繋ぎ、それから一秒後には少女がちんぽに手を伸ばすじゃないか！すぐに性行為が行われて少女は少女でなくなってしまうんだ。も、勿論、少女のせいなんかじゃ、ありません。性器のせいだ…なにもかもが性器のせいだ。くそぅ！！だから、そうなる前に、チンポに触る前に永久に融けてしまえば良い。ボクは、憎む！！真琴シナリオはそういった意味では完璧そのものだった！！少女一般の内面に潜む、悲劇性、獣性、幼児性、憧憬、全てを内包させながらも、徐々にその度合いを強めていき、最終的には永遠の世界に閉じ込める。というシナリオ構造にボクは熱狂した。その構造に、インポテンツ的実存であるボクは10年ぶりに勃起した。発糞すらしたよ！！(裏返しにされた団子虫のように手足をばたつかせながら)
…それをあの教授ときたら…性行為だけに注視して全てを台無しにしたんだ！！！！ぶち壊しだ！！！わかるかい！？僕が欲しいのは、僕に意見しない、逆らわない、獣そのものの知性の少女がそばにいて、たまに手を握って、二ハハと儚げに笑う永久の少女だ！！　いや！！触れなくったっていい！！うぐぅ！ただ、少女が不幸になって、かわいそうになって、頭もかわいそうになって、ようやく僕が保護できるまでに、その知性を落としたときに、助けるふりをしながら、永遠に閉じ込める！！これだよ！！知性なんていうのは、文明社会に破壊された本能のスケープゴートだ！！僕は、彼女達が物語りの中で、知性を失う様を見て、『ヒューマニズム。ヒューマニズムの黎明が見える・・・！！』と感激するんだ。まったく性器なんかの話じゃないんだ。

　ボクは今回の件で反省しました。まだまだ、key的文学の世界的浸透は弱い。このままでは現代の浮薄そのもののパラダイムの上で、空中分解を呈す存在になってしまうでしょう。ボクはここに宣言します！ボクはkey作品に対する偉大なる宗教家であり、敬遠なる信者であり、予言と啓蒙のマホメットであり、それと同時に神学者です！！ボクはkey作品、いや、この際ゲーティア（なんて適切な表現なんでしょうね！何故って？だって人類存在が更に高次元の存在となるためのまさしく鍵となるのでしょうから）と呼びましょう。まさしく、これらの内包する無垢の少女達の御姿がボク達のアニマ的な唯一神であり、内なるニンフェット神です。みんながみんな性器を切り捨てて、それを神の御霊に掲げ「これこそがわたくしどもの魂を堕落せしものです！この全ての堕落をなじり、浄化してくださいまし！永遠の我らがニンフェット神！永遠の我らがイヴよ！！」と、我らが神に原罪の許しを乞いましょうよ！さぁ、早く性器を切り離しましょう！そして、ボク達の地母神に、母なる大地に接吻しましょう！ボクはしますよ！ほら！ほら！接吻です！接吻ですよ！ボクは今、大地に倒れふし、接吻していますよ！ボクは、モーゼです！みなさん！付いて来て下さいよ！これは…これは……不倶者達の…聖者の行進です！！正常に帰するための、聖者達の行進なのです！