メタフォリカルは何故殺された?

生きただけじゃあ満たされない。
生きた価値こそ語らねば。
死んだだけじゃあ物足りない。
死せる意味をも語らねば。

―『月姫』より、なにもかも引用―

 ねぇ、ひどく暖かい気分なんだよ(色々な意味でイってしまっている知性を感じさせない笑みを浮かべながら)うぐぅ。地獄のような穏やかさが、人々の心を、虚無を埋めていっていくように感じるんだ。
 人は一人で生まれて、一人で死に逝く生き物だから、生きることは寂しいことだよね。それは一切の無限の祈りみたいなもので、いつかは裏切られるんだ。自分本位の思い込みなんだ。人間の孤独は本質的に不可避だからね。
 ねぇ、それでも、さ。それでもAIRにはそれに対する勇気のある解答が用意されているんだよね。AIRの作品中にこんな言葉がある。『人間は思い出がないと生きていけない。でも思い出だけでも生きていけない。夢はいつか覚めないといけないんです。覚めない夢はいつか悲しみに変わってしまうから・・・だから、だから星は夜が明ければ消えなければいけないんです・・・!!飛べない翼に、意味は、あるんでしょうか?』この台詞は美凪という悲劇の少女が、自身の譫妄症が創り出した幻影であるみちるに対して放った言葉なんだ。うぐぅ・・・!!なんてかわいそうなんだ!!かわいそうな美凪と・・・ミチルゥ!!(ベルセルクの狂戦士モードのように爛爛と目を輝かせながら)
 人間にとって最大の悲劇である自己存在の否定を、美凪は母親に、そしてミチルも自己の母親であるところの美凪にされてしまったんだ・・・これは違う!!違うと思う!!!哀しいすれ違いなんだ。ねぇ、こういった少女たちの陰惨な悲劇の中からも、いつか愛は生まれるのかな?それがわからない僕だけど、彼女に心の中で言ってあげたんだ『飛べない翼にも、意味はあるよ。飛んでいた頃の、大切な思い出だから』ってね(ヒンドゥスクワットの要領で大地に接吻して起き上がる)
 これが、人間の孤独に対する答えなんだ。エヴァとかいう蛆汚い物語の中ではさ、あのゲンドウとかいう、汚らしい男性性の象徴であるところのフロイト的な男根がさ!!『人間は思い出を消費することで生きていく生き物だからな』とかのたまいやがったけどさ、これは違うよね。違うんだ・・・うぐぅ・・・ちくしょう!!!ちくしょおおお!!!!あの男根め!!!男根めぇ!!(頭皮を掻き毟る、気狂いの動作)人間は確かに思い出を磨耗しながら生きていくのかもしれない。でも、思い出は、飛べない翼は、孤独と向かい合った時の唯一の支えなんだ。他に何が支えてくれるっていうの?少女の無垢性以外に何が支えてくれるっていうのさ!!(突然激昂しディスプレイを強打。かけていた眼鏡が顔から吹き飛ぶ)まったくの処女であるところの、かわいそうな、現実の蛆汚い体臭も、声も出さない、美凪の思い出が孤独な僕を唯一支えてくれているのが証明しているじゃないか!!!

 (眼鏡を鷹揚な態度でかけ直しながら)…すべての性行為は、勇気とプライドのないところに、世界に向かって勇気とプライドを示そうという意志のない共同体の中に、その結束と秩序を不自然に守るために生まれるものです。僕は憎む!!!勇気の無い世界を!!プライドの無い世界を!!勇気とプライドを持ち得ぬ共同体を・・・物語を!!!
 ねぇ、世界はもうまったくの資本主義に染まりきって、致命的なまでに富が不平等に分配されているよね。この飽和した資本主義を打破できるものは実はたったの2つで、それは帝国主義化による戦争か、思想の統一による神の御国の到来なんだ。前者も後者も、既にキリスト原理主義アメリカが始めたことだけど。ねぇ、実は平和主義的な後者の選択肢っていうのは、世界で日本にしかないんだ。それは・・・もう言わなくてもわかるよね。そう、AIRさ。気付いたかな?AIRのオープニングは実はエンディングと同義なんだ。いや、より高次元のエンディングと言ってもいい。AIRの物語はちょうど螺旋階段状になっていて、周回を増すごとに思想的な強化が図られる造りになっている。
 『遠くには幼かった日々を 両手には飛び立つ希望を』というのはつまりそういったことで、幼かった日々がテーゼで飛び立つ希望がアンチテーゼで、わたつみのような強さがジンテーゼなんだ。暖かい。暖かいよね。ハッ!ハッ!!(腕立て伏せの要領で幾度となくアパートのフローリングに接吻してみせる)
 そうして、わたつみのような強さであるジンテーゼが、幼かった日々であるテーゼになり、次の周回の飛び立つ希望によって昇華せしめられていくという構造をしているんだ。僕達は、ヒトは、少女の悲劇を糧にしながら飛びつづける鳥!(両手を水平に掲げ、トンボがするように、むやみやたらとばたつかせる)
 永遠の中の少女の悲劇が、螺旋的な物語の虚構が、現実に耐えうるだけの思い出を増やし続けるんだ!あとは性器さえ、性器さえ無くなれば事足りる。だって、人間の持ちうる唯一無二の価値観なんだもの。性器は。せ せ せ 性行為は!!!!(顔面を机に叩き付ける)せ せ せ 性行為さえなくなれば、あとは永遠の価値観を失った人類に思想の統一が広がっていくんですよ!!美しいじゃないか。酷く、美しい。(顔面から血を垂れ流しながら)
 ねぇ、それと、気付いたかな?AIRのエンディングはある小説のラストシーンと酷似している。カラマーゾフの兄弟だよね。現代の預言書である、人類知性の頂点であるドストエフスキーの物語さ。カラマーゾフの兄弟も、子供達が手と手を繋ぎ会って、子供達の友人であったイリューシェチカの悲劇を、勇気を、永遠の思い出にして生きていこうという帰結を迎えるんだ。コーリャは最後に言うんだ『いつまでもこうやって、一生、手をつないで行きましょう!』ってね。うぐぅ。僕達も手を繋げるのさ!!カラマーゾフのラストシーンみたいに教会の近くの荒涼とした大地の上で、どこまでも続く夏の、彼女が待つ、その大気の下で、永遠に手を繋ぎ会えるに違いないのさ!!

 さてさて、宗教活動はここら辺で置いておいて、さっそく萌えバトンの続きを答えましょう!
◆萌え仕草を答えよ(ときめく仕草)
 これは、ボクが一番解答するのが易いアポリアです!完璧な、人類の結論を用意してみせますよ!
 
 炭酸飲料を自身の嗜好と主張する少女。飲む前に何故か病的な仕草でカンを振り回す。当然、開封時に吹き零れる炭酸飲料。「わぷっ!!」と、のたまいながら慌てて飲み始めるも、喉に走る独特の痛みにより、涙を流してしまう。「……わわ……い、痛い」と自身の嗜好を真っ向から否定してみせる発言。このような非論理に満ち溢れし彼女の嗜好は、実のところ幼少時のトラウマに起因していたのだった!!!

 うぐぅ!!うぐぅ!!!!かわいそうだ!!おお………かわいそうだ!!!鍵的ですよね。いいニンフェット神です!!ボクはこのように毎日ゲーティア的ニンフェット神を思い描くことにより、祈りを捧げているんです!
 ですからこの質問に対する解答というのは無限にあるわけなんですよね。

◆萌え場所を答えよ(二人がここにいると最高にいいっての)
 
 これはいい質問ですね。いい質問だと思います!うぐぅ…そうですよね…すべての時間概念と空間概念は神の掌を離れ、人間の手の中にあるんです。そういった意味でこの質問はとても神学的な意味付けがふざけないでくださいッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!なんですか!!?この質問はッッ!!ボクを殺す気なんですか?この殺人狂め!!二人でいたりしたら危ないでしょうが!!!子供が出来ちゃうでしょ!!初潮が始まっちゃうでしょうが………!!!!あ!いや!ボクは自身のインポテンツを誇りに思っているくらいで、そこに聖性すら感じはじめている実存ですから、つまりその……ボクの性的不能を省みれば子供ができるはずはないんですけど……でも二人っきりってことは……それはもう……つまり初潮が始まったり…しますよね?だからわかりませんよっ!!!!!!10歳くらいである彼女に突然初潮が始まって、その月経に影響されたら最後、ボクは畏怖のあまり失禁するのと同じ気安さで精子を垂れ流しますよ!!!!いいんですか!?夢精をしちゃいますよ!??それでいいんですか!!??………なにぬかす!この低額所得者が!!!わからないでしょうが!!いつ子宮が、あの獰猛極まりない魔獣が、男根を求めるかなんてわからないでしょうが!!!ボクが精液を垂れ流したら最後、彼女はスポイトを使って床に垂れ流れた性的な液体をフラスコに保存し始めるに決まってるでしょ!!!初潮が来たってことは、男女の関係が入れ替わるってことでしょうが!!も……もし全然彼女に初潮が来なかったりしても…ボクに!ボクに初潮が来ちゃいますよ!!!あたりまえじゃないですか!!!すぐに人間は……性器に支配されるんです…無力なんです……無力…人間は…あまりにも無力……!!!!
 西欧デモクラシーの実現がベルリンの壁を打ち崩した時、歴史という信仰は殺されました。神に拮抗する信仰であったのにも関わらず、です。もちろん、それは歴史的時間までもが死んだということではありません。死んだのは、個人の行為や個々の歴史的出来事をあまねく意味付け、支配してきた「大いなる物語」ないしは「超越論的歴史」の権能です。わかりやすくまとめればベルリンの壁崩壊は、人類のイデオロギー的な進展は終点に達したのであり、アメリカ的デモクラシーが人類の統治形態としては究極のものであることを示してしまった、ということなのです。うぐぅ。しかし、歴史の終末における人間の消滅はセカイの破局ではありません。すなわち、自然的セカイは永遠に在るがままに実存する。したがって、これはまた生物的破局でもない。人間は自然あるいは所与の存在と調和した動物として実存しつづける。ここを強調しますよ!性器を持ちえし動物としてです!!!消滅するもの、これは本来の人間なのです!!これが実際に意味するものは、―――血塗られし戦争と革命の消滅であり、さらには思想哲学の消滅です。わかりやすく整理しましょう。人間の持ちえし幻想と思想はことごとく夢半ばにして死を迎え、残る幻想は、思想は、――――価値観は性器だけ、ということなのです。さぁ、皆様方!!はてなダイアリー市民の方々!!あなた達がそのようなセクシャルファンタジーに振り回されているのは、全て性器という名の悪魔の所業なのです!!性器のもたらした価値観のなせるカルマなのです!!!性器を、切り捨てましょう!!新しいセカイを!!ボク達の新しいセカイを!!!!!